そのころ、郁美は両親と、北海道のあるちいさな町にいた。
毎日、雪、はれ、吹雪、地吹雪、やんで、晴れ、また雪。
郁美と同じ、東京育ちの
母親は慣れない生活のせいか、顔色がよくない。
父親(義父、血のつながりがない)は乱暴者で
高校三年生にしては色っぽい身体の郁美をなめまわすような
いやらしい目で見ている。
こわいわ
萎縮してしまう彼女だった。
純子の言うとおり、まゆみの想像の通り、
彼女はアキのことばかり、考えていた。
何の連絡もせず、逃げるように東京を出てきた。
100%両親のせいだったが、郁美には大きな後悔しかなかった。
そして、雪道での自動車のスリップ事故に巻き込まれた母親は
あっけなくこの世を去って行った。