ショックだったのよ。
彼を後から来た女に寝とられるなんて
引きこもってしまうくらいだったわ。
恭一さんが居なければ。
恭一さん、自分も悲しいはずなのに
お仕事に打ち込んでいるせいか、
そんなこと、ちっとも感じさせないの。
さすがに男、って思ったの。
恭一さんのお仕事を手伝ったこともあるのよ
都心の小さなイベントスペースで
お客さんにチラシを配ったり
アンケートをお願いしたり。
社員の方とお揃いのきいろいTシャツを着て。
恭一さん、さみしかったあたしにいろいろ気を遣ってくれて。
とても気がまぎれたし、
高額のアルバイト代もいただいたの。
今回は可南子ちゃん一人だけだったけれど
次は会社主催のPR会があるから、
その時はみんなにもお願いしようかな、って。
うれしかった。
自分に自信がない時だったから。
恭一さんとは、そんなこんなで、親しくなった。
おたがい、一生懸命生きようねって
励まし合ったんです。