突然、合宿所に地元の女が現れて
あたしの、あたしのマコちゃんが、
千津子というおんなに取られて
あたし、分かっているのよ。
彼女が苦労して人生を歩んでいることくらい。
彼女が、当局の男たちの慰みものになるか、
マコちゃんの子供を産むかの
選択を迫られていたことくらい。
でも、でもね、マコちゃんはあたしの恋人だったのに。
オカマでも、あたしの大切な彼だったのに。
もう、すっかり、千津子のものになってしまったマコちゃん
彼女とばかり接触し、肉体関係を結び、妊娠一歩前まですすんでしまい。
あたし、毎晩聞こえる、千津子のピンク声
(もっと、もっとして)
(まこちゃんの、おちんちん、おちんちん ちょうだい)
(あふ、あっふう、あふううう)という細くて甲高い声を聴きながら
隣室で、ほってた、自分の乳房を抱えて、涙ぐんでいたのです。
時には夜中に、もう誰も触ってくれない、
くみこ自身の下半身を、慰めることもあって。
おショーツの二重布地部分がぺっちょりするほど
濡らしてしまうことも。
そのあとは、決まって自己嫌悪に陥るのでした。
ああ、東京に帰りたい。そう思いました。